2016年の割賦販売法改正をきっかけに、キャッシュレス決済の増加が加速し、多様化が進みました。近年になって新規参入が増えているのは、個別クレジットです。個々の商品やサービスごとにクレジット会社と契約を結び、分割払いで支払う仕組みは、決済手数料の削減や業務効率化、高額商品の購入しやすさなど事業者と消費者の双方にメリットがあり、中小企業の導入も増えています。
ソルクシーズは、個別クレジットの浸透を見据えて、早くからソリューションを提供してきました。2012年にスタートした個別クレジットシステム「杯王」は、受付・審査から請求・入金までの一連の個別クレジット業務を効率化する基幹業務システム。バージョンアップを重ね、現在ではそのまま導入できるレベルで必要な機能がカバーされており、カスタマイズもスムーズと好評で、さまざまな業界のお客様に利用していただいています。
今回は、「杯王」の導入事例として、ジェイエムシー株式会社様(以下、JMC)を紹介します。
「自社サービス立ち上げが進まず、事務代行業務のシステムが限界を迎えていた」
―「杯王」の導入を検討されたのは、いつ頃でしょうか?
小松さん もう10年ぐらい前になりますね。JMCは創業以来、エステティックサロンやクリニックといった美容業界の企業様向けに決済サービスを提供しています。複数の信販会社から業務委託を受け、美容業界の企業様との橋渡し役を担う事務代行業をやっているのですが、当時は加盟店向けに自社クレジット支援をする自社サービスがありませんでした。
そこで、自社サービスを立ち上げ、自分たちで運用できるシステムを構築するとともに、事務代行のサービスのシステムも刷新したかったんです。
ー事務代行サービスには、どのような課題があったのですか?
谷岡さん 以前のシステムは自社開発で、自分たちの業務に合わせて作っていました。しかし、システム自体が古くなってきており、特にペーパーレス化への対応が急務でした。当時はまだFAXでの申し込みが主流だったのですが、iPadなどで手軽に申し込みができるようになるなど、決済方法の多様化が進んでいました。
さらにもうひとつ、解決しなければならない課題がありました。システム刷新を検討し始めるまでは、契約していた信販会社は2~3社だったのですが、一気に提携先が増え、10社以上と契約するようになったんです。従来のシステムでは、10社までしか対応できないということが判明し、このままではシステムでの運用管理ができないという状況に陥っていました。
ー既存のシステムでは対応が難しかったのでしょうか?
小松さん はい。自社のシステムの開発となると、ゼロから作り直すような話になってしまいます。そこまでの予算を取れなかったので、自社サービスの提供ができ、かつ事務代行も対応可能となるパッケージシステムの導入を検討し始めました。
ところが実際に調べてみると、既存のパッケージシステムは事務代行の複雑な業務フローに対応できず、条件も運用も異なる10社以上の信販会社を一元管理できるシステムはありませんでした。
どの担当者も「事務代行の業務にも対応できるようにカスタマイズします」とおっしゃるのですが、この業界のことを理解している方がいなかったんです。毎回、事業内容や要望をゼロから説明しなければならず、具体的な話になるとなかなか前に進まなかったですね。
要件定義まで進んでから、頓挫したこともありました。これは、特定の機能が実現できなかったからではありません。金融機関と美容業界のサービス事業者との間に入るというビジネスモデルや、事務代行という複雑なサービスを理解してもらえなかったんだと思います。話が通じないという感覚でした。
「事業を理解してくれる担当者と、Webプラスの存在が大きかった」
―「杯王」の第一印象はいかがでしたか?
小松さん インターネットでいろいろ調べているなかで、「杯王」が目に入りました。さっそく問い合わせて、担当者と話したときの第一印象は「この方は、私たちの業界やクレジットをわかっている」でしたね。
―「杯王」を選んだ決め手は何だったのでしょうか?
小松さん 信頼できる担当者と出会えたのが大きかったですね。エンジニアの対応の速さと提案力も素晴らしかったです。何より、個別クレジットや事業について全体的に理解しているだけでなく、ビジネスに必要な機能と実装方法についてもわかっている会社だと実感しました。
システムにおける最大の決め手は、事務代行の基幹システムと自社クレジット運営のシステムをつなぐ「Webプラス」の存在です。他社のシステムは、結局どちらか一方しか対応できませんでした。自社サービスのシステムで妥協したくなかったので、2つのシステムを統合できると知ったとき、初めて「これはいけるかもしれない」と感じました。
―導入はスムーズでしたか?
小松さん 実は導入当初は、もともとやりたかったことの2〜3割しか実現できていませんでした。キャッシュレス決済は変化の激しい領域なので、最初から100点をめざすのではなく、将来的な拡張性を考慮し、あえて余白を残しておこうと考えたんです。
私たちはサービス業で、消費者の動向や社会の仕組みの変化に対応しなければなりません。拡張性があって新たな機能を導入しやすいことも、システムの大事な条件でした。最初から完璧に仕上げるつもりはなく、今後も協力しながら一緒にシステムを育てていけるパートナーとして、ソルクシーズさんを選びました。
「改善を重ねて業務効率化が実現。事業とともに進化するパートナー」
―「杯王」を導入して、どのような効果を感じていますか?
小松さん 一番はやはり、全てをお任せできるという安心感ですね。何かあった時の迅速な対応は、とても心強いです。以前はシステムがストップして、丸一日何もできないということもありましたが、「杯王」導入後はそうした心配がなくなりました。
谷岡さん システムを刷新する機会に、不要な業務の見直しが進んだのもよかったですね。これまでのシステムは自社開発で、自分たちの業務に合わせて作っていたのですが、業務のほうを新しいシステムに合わせていく部分もありました。システムの導入を通じて無駄な仕事がなくなり、業務効率化につながりました。
―現場での使い勝手はいかがでしょうか?
谷岡さん システムをリリースしてからも、いろいろ相談させてもらって、改善を重ねてきました。「杯王」は画面が見やすくて、ひとつの操作でいろいろな情報をチェックできるのがいいですね。契約の詳細など重要な情報もタブで移動しながら見られるので、とても便利です。
小松さん 最近はオンラインスクールなど、非対面のサービスのお客様が増えているので、さまざまな業態に対応できるように拡張を進められればと考えています。美容系でも、オンライン診療からそのまま施術を申し込める機能は、必須となるでしょう。
谷岡さん 帳票周りの改善やメール、チャットなど、業務の効率化が図れる機能を追加していく余地もまだまだあると思います。現在は契約書を印刷して郵送していますが、メールで自動送付できるようになれば、コスト削減につながり、セキュリティ面でもより安心できます。
小松さん JMCにとって「杯王」は、「完成しない」システムですね。キャッシュレス決済に関する技術は、今後も進化し続けるので、変化に対応できる柔軟なシステムが不可欠です。私たちは3年~5年といった短いスパンではなく、10年~20年という長期的な視点でビジネスを考えています。常に新たな可能性を模索しながら、ビジネスとともにシステムも進化させていければと考えています。
「杯王」は、JMCのビジネスの基盤として、ともに進化し続ける大事なパートナーになってくれると確信しています。
| 会社名 | ジェイエムシー株式会社 |
|---|---|
| 住所 | 高知県高知市薊野中町33番50号JMCビル2F |
| 事業内容 | 美容業界向け決済の提案、提供、運用およびオペレーション受託業務 |
| URL | https://www.jmc-ltd.co.jp/ |